弁理士
弁理士とは?
日本における弁理士(べんりし)とは、弁理士法で規定された産業財産権等に関する業務を行うための国家資格者をさす。
概要
弁理士の職掌・資格に関しては弁理士法などで規定されている。徽章(バッジ)は十六弁菊花紋の中央に五三桐をあしらったデザイン。菊は正義を、桐は国家の繁栄を表すものといわれている。近年の知財立国推進とともに脚光を浴びているが、申請代理人の歴史は1899年と古い。技術専門的な特許を扱う特殊性(技術者と同時に法律家)のため国家資格として一般社会であまり認知されてはいない。だが、日本では他の資格と単純比較はできないものの弁護士についで難易度の高い超難関資格である(難易度については後述する)。
弁理士の業務
弁理士の業務は自身の専門及び所属する職場により異なる。特許専門の弁理士、意匠・商標専門の弁理士に大別されるものの、特許を専門とする弁理士が比較的多い。 他の法律系資格と異なり、通常の弁理士が扱う案件の一部はパリ条約ルートあるいはPCT条約ルートによる外国出願の基礎出願となるため、日本法を理解しているのみならず、主要諸外国の法制度についてもある程度の知識が求められる。
特許事務所勤務の弁理士
<主業務>
・企業の求めに応じて出願書類を作成する(主業務)。
・ 出願後に特許庁から通知される拒絶理由通知に応答する(中間処理)。
・存続中の権利の年金処理。
・特許、実用新案、意匠、商標に関する相談を受ける。
<その他の業務>
・ 成立した特許、実用新案の技術的範囲、意匠、商標の権利範囲について、第三者の観点から鑑定を行う。
・主に特許・実用新案のライセンス交渉を代理する。意匠あるいは商標は、その専門に特化した弁理士や特許事務所が行うことが多い。
・拒絶査定不服審判、無効審判の代理を行う。
・特許権・実用新案権・意匠権・商標権に関する訴訟の補佐人・訴訟代理人。
<待遇>
ほとんどの事務所は実績主義あるいは出来高主義により、弁理士や実務担当者の給与(年俸)を決めている。能力・経歴によっては弁理士資格の有無に関わらず数年で1000万円以上を稼ぐ者も少なくない。但し、他の士業と同様、大手特許事務所では所長弁理士とパートナーの待遇は比較的良いが、担当弁理士の待遇は必ずしも良いとは限らず独立開業を目指す者も少なくない。事務所内の職制に応じて歩合の比率を上げていくところもある(実務担当者は25%、勤務弁理士は35%、管理職は40%など)。なお、パートナーは、担当部門の実績に応じて報酬が決められることが多い。一方、日常的に手続依頼をしている大手企業では、事務所単位のみならず、所長、パートナー、勤務弁理士あるいは所員の区別なく、外注業者として「実績評価」を行っている企業も少なくなく、実績があり信頼を置く弁理士が独立あるいは他の事務所に移った場合にはその事務所への委任案件を引き上げる企業もある。そのため、有能な弁理士をどれだけ確保できるかが経営上の重要課題のひとつでもある。
弁理士業務の課題
特許権者の訴訟費用低減の観点から単独侵害訴訟代理の解除などへの議論が続けられているが、現在のところ、法曹界の慎重意見により弁理士単独の訴訟代理は認められるには至っていない。 弁理士は特許出願代理を主に行っているものの、ライセンス交渉、技術経営的な知識を持っている者は乏しく、経営的なセンスを有している弁理士の育成が急務の課題と考えられている。そのためこれからは、知財戦略などのコンサルティング事業といった付加価値の高いサービスを知財部を持つ事が出来ないベンチャー、中小企業などに提供していくことが弁理士には期待されている。
弁理士という言葉の意味
弁理士の弁と弁護士の弁は、現在では同じ字を使っているが、かつては、辨理士、辯護士と書いた。「辨」という字の意味は「わきまえ知る」であり、「理」という字の意味は「筋道」/「物事の道理」である。従って、弁理士とは、筋道あるいは物事の道理をわきまえ知る者という意味になる。一方、「辯」という字の意味は「言い開く」「言葉が自在に説法できること」であり、「護」という字の意味は「まもる」である。従って、弁護士とは、人のために言葉を自在に駆使してその人を護ることを役割とする者という意味になる[要出典]。なお、日本では、弁護士となる資格を有する者は、弁理士登録をすることができる。もっとも、弁護士は、弁理士登録をせずとも弁理士業務を行うことができる。これは、弁護士法第3条の第2項に「弁護士は、当然、弁理士及び税理士の事務を行うことができる。」と規定されているためである。何故、弁理士と税理士についてのみこのような異様な規定が存在するのか理由は不明である。
弁理士の日
毎年7月1日は、日本弁理士会によって弁理士の日に定められている。これは、1899年(明治32年)のこの日に、現在の「弁理士法」の前身にあたる「特許代理業者登録規則」が施行されたことにちなむものである。この日の前後には、日本弁理士会や各地の支部により、講演会、シンポジウム、特許無料相談会などのイベントが開催されている。